お手入れコラム【育てる暮らし】vol.1

無垢材のお手入れ

艶とともに深まる、木の表情

テーブルに手を置いたとき、椅子の肘掛けに触れたとき、ふと感じる木のぬくもり。
無垢材の家具には、工業製品にはない「体温」のようなものがあります。

無垢材とは、一本の木から切り出したそのままの木材のこと。
湿気を吸えば膨らみ、乾燥すれば縮む。
季節によって表情を変え、使い込むほどに色が深まり、艶が生まれる。
暮らしとともに呼吸し、変化し続ける素材です。

だからこそ、少しだけ手をかけてあげたい。
この記事では、無垢材の家具を長く美しく使い続けるためのお手入れ方法をご紹介します。

まず確認したい|仕上げの種類

無垢材家具のお手入れ方法は、
「仕上げ」によって異なります。

まずはお手持ちの家具が
どのタイプか確認してみてください。

購入時の説明書やタグに
記載されていることが多いです。

無塗装

何も塗っていない、木そのままの状態。最も経年変化が早く、水や汚れにも敏感。オイルやワックスでの保護を早めに行うことをおすすめします。

オイル仕上げ

植物性のオイルを木に染み込ませた仕上げ。木の呼吸を妨げず、自然な質感と経年変化を楽しめます。表面に膜を作らないため、定期的にオイルやワックスを補給してあげる必要があります。

蜜蝋ワックス仕上げ

蜜蝋(みつろう)を主成分としたワックスで仕上げたもの。オイル仕上げに近い自然な風合いで、しっとりとした艶が特徴です。こちらも定期的なワックスの塗り直しが効果的。

職人の手仕事によって磨き上げられた、なめらかで美しい曲線。

ソープ仕上げ

北欧家具に多く見られる仕上げ。石鹸水を木に染み込ませることで、マットで白っぽい質感に。メンテナンスは専用のソープを使って行います。

ラッカー塗装

ウレタンより薄い塗膜を作る仕上げ。木の風合いを残しながら、ある程度の保護効果があります。日常のケアは乾拭きで十分ですが、塗膜が薄いぶん傷がつきやすい面も。

ウレタン塗装

木の表面に樹脂の膜を作る仕上げ。水や汚れに強く、日常のお手入れは乾拭きだけでOK。ただし、木の呼吸を止めるため、オイル仕上げのような経年変化は起きにくくなります。

日々のケア|どの仕上げにも共通すること

特別な道具がなくても、
日々の心がけで無垢材は美しさを保てます。

乾拭きが基本

ホコリや手垢は、乾いた柔らかい布でさっと拭き取るだけで十分です。木目に沿って拭くと、繊維を傷めにくく、汚れも落ちやすくなります。

水拭きは固く絞って

汚れがひどいときは水拭きも可能ですが、布はしっかり絞ること。濡れたまま放置すると、輪染みや変色の原因になります。水拭きの後は必ず乾拭きで水分を取り除いてください。

天敵は「乾燥」と「直射日光」

無垢材にとって最大の敵は、乾燥と紫外線。エアコンの風が直接当たる場所では木が乾燥しやすく、ひび割れや反りの原因になります。窓際に置いた家具は日焼けで色が変わりやすいので、カーテンやブラインドで調整を。

熱いもの、冷たいものに注意

熱いカップや鍋を直接置くと、白い跡が残ることがあります。冷たいグラスも、結露で輪染みの原因に。コースターやマットを使う習慣をつけておくと安心です。

みつろうクリームでお手入れ|木に栄養を与える

オイル仕上げや蜜蝋仕上げ、
無塗装の木製家具には、
定期的に油分を補給してあげることで、
乾燥を防ぎ、美しい艶を保つことができます

tifloでは、天然素材だけで作られた
「木工用みつろうクリーム」をおすすめしています。

みつろうクリームとは

富山県の製材所・尾山製材が手がける、自然派のウッドケアクリーム。

原材料は、国産の蜜蝋と植物油(菜種油・亜麻仁油・椿油・ヒバ油)のみ。合成樹脂や有機溶剤を一切使わず、小さなお子さんが触れる家具にも安心して使える成分です。

オイル仕上げの家具にも、無塗装の木にも使え、他の塗料の上からも塗れる汎用性の高さが魅力。木の乾燥を防ぎながら、しっとりとした自然な艶を与えてくれます。

穏やかな香りも心地よく、お手入れの時間そのものが暮らしの楽しみになります。

使い方(とても簡単です)

1. ホコリを落とす

柔らかいモップや乾いた布で
ホコリを取りましょう。

2. クリームを塗って浸透させる

布やスポンジに少量取り、薄く伸ばすように塗り、30分ほど置いて、木に染み込ませます。

3. 乾拭きで仕上げ

乾いた布でしっかり拭き取って完了

オイルでのメンテナンスも

みつろうクリームのほかに、家具用オイルを使う方法もあります。亜麻仁油をベースにしたものが一般的で、木により深く浸透し、内側から保護してくれます。

使い方は基本的にみつろうクリームと同じ。布に少量取って薄く塗り、浸透させてから乾拭きで仕上げます。

ひとつ注意したいのは、オイルを染み込ませた布の扱い。植物油は酸化するときに熱を発するため、丸めて放置すると自然発火の恐れがあります。
使い終わった布は水に浸してから処分してください。

頻度の目安

3〜6ヶ月に1回、または
「表面がカサついてきたな」と感じたら。
年に数回の「愛情メンテナンス」として、
季節の変わり目に行うのもおすすめです。

みつろうクリームとオイル、
どちらを選ぶかはお好みで。

クリームは塗りやすさと安全性、
オイルは浸透力の高さがそれぞれの魅力です。

困ったときの対処法

輪染み・水滴のシミ

オイル仕上げや無塗装の家具なら、紙やすり(#320〜400程度)で木目に沿って軽く研磨し、その後みつろうクリームやオイルを塗り直すことで、目立たなくなることが多いです。ウレタン塗装の場合は表面を傷めてしまうので、専門業者に相談を。

小さな傷・へこみ

浅い傷は、クリームやオイルを塗り込むことで目立たなくなることも。へこみは、オイル仕上げの家具なら濡れた布を当ててアイロンをかけると、木が水分を吸って膨らみ、戻る場合があります(ウレタン塗装には不向き)。深い傷や大きなへこみは、「暮らしの軌跡」として受け入れるか、修理業者に相談するのも選択肢です。

乾燥によるひび割れ・反り

冬場の乾燥が主な原因。加湿器を使って室内の湿度を40〜60%に保つこと、定期的にクリームやオイルで油分を補給することで予防できます。
大きなひび割れや反りが生じた場合は、無理に直そうとせず専門業者に相談してください。

手をかけた分だけ、応えてくれる

無垢材の家具は、たしかに手がかかります。
でも、その手間こそが、世界にひとつだけの家具を育てる時間になります。

みつろうクリームを塗り込むひととき。
木目に沿って布を動かしながら、木と静かに向き合う時間。
それは単なる「お手入れ」ではなく、暮らしを慈しむ行為なのかもしれません。

小さな傷がついても、シミができても、それは家族の歴史。
子どもがつけた傷も、コーヒーをこぼした跡も、すべてが思い出になっていく。手をかけた分だけ、木は応えてくれます。

触れるたびに滑らかになる手触り、深まっていく色と艶。
その変化を、どうか楽しんでください。

ブラックチェリー無垢材の美しさ。時とともに深まる、自然な風合い。