小さな穴が、点々と続く木肌。
それは、虫が通り抜けていった跡。
かつて「使えない」とされ、
山に置かれたままだった楢の木を、
RetReは、もう一度道具へと仕立てます。
穴も、色の濃淡も、
消さずにそのまま。
ふたつと同じもののない表情が、
暮らしの片隅で、静かに時間を語りはじめます。
Philosophy
使われなかった木に、もう一度
富山県朝日町の材木屋、尾山製材。
RetRe(リツリ)は、この製材所が立ち上げたブランドです。
カシノナガキクイムシの被害によって、小さな穴があいた楢の木。
その多くは「使えない」とされ、山に放置されてきました。
里山のこと、そして木に関わる人たちのこと。
その行く末を案じたところから、RetReのものづくりははじまっています。
ブランド名に込められているのは、ふたつの意味。
「Re tree」使われなくなった木を、道具として再生していくこと。
「Re + Re」ブランドを通して、里山の再生を積み重ねていくこと。
木を生かすことが、山を生かすことへとつながっていく。
そんな願いが、この名前には宿っています。
Material
虫喰い楢という個性
RetReが使うのは、富山県産の楢(ナラ)。
木肌には虫が通った穴が点々と残り、色の濃淡や節が、そのまま表情になっています。
同じひとつの道具でも、面ごとに見え方が違うのが面白いところ。
どの面を前に向けるかで、置いた場所の印象も少し変わります。
仕上げには、尾山製材が自らつくるみつろうクリームを使用。
過度な塗装で覆わないぶん、木肌はさらりとした手触りに。
天然木ならではの経年変化も、使う時間とともにゆっくり育っていきます。
欠点として扱われてきた穴が、ここでは見どころになる。
木が生きてきた時間を、そのまま手元に置くような感覚です。
Lifestyle
暮らしの、あちこちに
本棚に
整然と並んだ本の端に、虫喰いのブロックをひとつ。
本をしっかり支えながら、背表紙の列にふっと木の景色が差し込まれます。
文庫や薄い本には約10.5cm角のS、雑誌や大きめの本には高さ約16.5cmのL。
ふたつ並べれば、棚に心地よい高低差が生まれます。
テーブルに
虫喰いの丸トレイは、直径15cmほどの丸いウッドトレイ。
縁に丸みを帯びた「くるん」と、まっすぐな「すとん」の2タイプ。
焼き菓子をのせたり、玄関で鍵やアクセサリーの定位置にしたり。
香りの道具の受け皿としても、よく馴染みます。
壁に
虫喰いのウォールフックは、球・板・丸棒の3つのかたち。
玄関でバッグや帽子を、寝室で上着を掛けたり。
球には小さな穴がひとつあいていて、ドライフラワーを挿せば壁掛けの一輪挿しにも。板は縦にすれば掛ける場所、横にすれば鍵やアクセサリーを置く小さな棚になります。
何も掛けていない時間も、虫喰い楢の模様が壁のアクセントに。
木ネジは長さ3cmで、下地のある壁ならアンカーなしで取り付けられる仕様です。
夜の時間に
虫喰いのお香立ては、手のひらにおさまる直径5cmほどの球。
付属の台座にのせれば、お香を挿す角度を変えて楽しめます。
灰受け皿は付いていないので、お気に入りの器と合わせてみてください。
火を灯していない時間は、小さな木のオブジェとして。
短い枝や草花を挿して、一輪挿しにする使い方もできます。
Care
手をかけながら、長く
木肌が乾いてきたと感じたら、仕上げと同じみつろうクリームで手入れをするのもひとつ。
原材料は、蜜蝋に菜種油・亜麻仁油・椿油・ヒバ油を合わせた天然素材のみ。
RetReの小物はもちろん、テーブルやフローリングなど、暮らしの中の木工製品に広く使えます。
劣化した他の塗料の上からも使えるよう案内されているのは、材木を扱うつくり手ならではの心強さ。
布に少量をとって、薄くのばす。
乾いたら、から拭きで整える。
蓋を開けたときの穏やかな香りとともに、そんな小さな手間を重ねていく時間も、木の道具と付き合う楽しみのひとつです。
一点ずつ違う、ということ
RetReの道具を選んでいただく前に、知っておいていただきたいことがあります。
虫喰いの数や位置、色の濃淡、木目の出方は、ひとつずつ異なります。
サイズにもわずかな個体差があり、欠けや凹凸が見られることも。
これらは不良ではなく、虫喰い楢という素材そのものの個性です。
オンラインでは表情を選んでのご購入はお受けしていませんが、一部の商品は tiflo gallery で実物を手に取ってご覧いただけます。
均一ではないからこそ、届いたひとつが「自分の道具」になっていく。
その出会いも、RetReを迎える楽しさです。
RetReの道具は、派手な装飾で目を引くものではありません。
けれど、本棚の端に、玄関の壁に、テーブルの上に置いたとき、
そこにはたしかに一本の木の気配があります。
山で過ごした年月と、
虫が残した小さな跡。
使うほどに手に馴染み、
暮らしの景色の一部になっていく。
その静かな変化を、
ぜひ手元で確かめてみてください。