床に敷くものを選ぶとき、「ヴィンテージ」
という言葉を目にする機会が増えました。
写真で見ると美しいけれど、
実際どんなものなのか、
新品のラグと何が違うのか。
案外、はっきりと説明できる人は
少ないかもしれません。
tifloが扱うヴィンテージラグは、
その多くがトルコやアフガニスタンで、
地域ごとの暮らしや絨毯づくりの文化の中から生まれた一点もの。
同じラグと呼ばれるものでも、
産地や時代、織られた背景によって、
その表情はさまざまです。
今回は、ヴィンテージラグとはどんなものなのか、
新品のラグとの違いから、選び方、
お手入れまでをご紹介します。
ヴィンテージラグとは
ヴィンテージラグとは、長い年月を経て受け継がれてきたラグのこと。
「ヴィンテージ」という言葉に明確な年数の決まりはありませんが、
一般には製作から20〜30年以上経ったものを指すことが多く、tifloでも主に数十年前に織られたものを取り扱っています。
100年以上を経たものを指すことが多い「アンティーク」と比べると、今の暮らしにも取り入れやすい存在です。
産地や時代によって背景は異なりますが、tifloで扱うものの多くは手仕事によって織られた一点もの。
手織りならではのわずかな揺らぎや、年月を重ねる中で生まれた色や風合いが、一枚ごとに異なる表情をつくっています。
新品ラグとの違い
見た目の美しさだけでなく、新品のラグとはいくつかの点で性質が異なります。
選ぶ前に知っておくと、迷いが少なくなるはずです。
色と風合い
新品のラグは、鮮やかな色合いや、織り上がったばかりの素材感が魅力です。
一方、ヴィンテージラグには、長い時間を経る中で色がやわらぎ、素材が暮らしになじんできた一枚ならではの表情があります。
たとえば、トルコ・アナトリアの深みのあるオレンジ。
鮮やかさを残しながらも、どこか角の取れた色合いには、年月を経たものならではの落ち着きがあります。
新品にはない、この曖昧な色の重なりも、ヴィンテージラグの魅力のひとつです。
個体差という価値
量産されている新品のラグなら、同じデザインやサイズを選び直せることがあります。
一方、ヴィンテージラグは基本的に一点ものです。
手織りならではのわずかな歪みや、使われてきた中で生まれた擦れ、色むら。
ひとつとして同じものがない表情は、その一枚が過ごしてきた時間の証でもあります。
きれいに揃っていないことまで含めて、時間が描いた景色として楽しんでいただけたらと思います。
「選ぶ」より「出会う」感覚
同じ一枚を、再入荷で待つことが基本的にできないのもヴィンテージラグの特徴です。
気になった一枚には、そのときに出会っておく。
そんな感覚で眺めてみると、選ぶ時間も少し楽しくなるかもしれません。
価格帯の考え方
ヴィンテージラグの価格は、サイズだけで決まるものではありません。
産地や年代、素材、織りの細かさ、コンディション、希少性など、いくつもの要素によって変わります。
そのため、同じくらいの大きさでも価格が異なることがあります。
安い、高いだけで比べるのではなく、その一枚の表情や状態、背景まで含めて見てみると、自分なりの基準が少しずつ見えてきます。
ヴィンテージラグを選ぶ、3つの視点
気になる色や柄に惹かれるのも、ヴィンテージラグ選びの楽しみのひとつ。
そこに、サイズ・産地・暮らし方という3つの視点を加えてみると、一枚との付き合い方が少し見えやすくなります。
01|サイズから考える
玄関に敷く小さなドアサイズから、ソファまわりやダイニングで使える大判まで。
まず置きたい場所を決めると、選択肢は自然と絞られていきます。
はじめてなら、玄関やベッドサイド、家具の足元に置ける小ぶりな一枚から取り入れるのもおすすめです。
大きな家具を動かさずに試せるので、柄や色のあるラグにも気軽に挑戦できます。
サイズ別の選び方は、こちらの記事でさらに詳しくご紹介しています。
02|産地から考える
同じヴィンテージラグでも、産地や織りの文化によって、色や文様、質感にはそれぞれ違いがあります。
花や植物を思わせる文様も多いイスパルタ。緻密な織りや繊細な意匠で知られるカイセリ。
同じトルコのラグでも、産地によって表情は大きく異なります。色や柄だけでなく、それぞれの土地に育まれた織りの違いに目を向けてみるのもおすすめです。
アフガニスタンのバルーチなど、部族の暮らしや文化と深く結びついたラグには、幾何学的で力強い文様や、深みのある色使いが見られます。
トルコのラグとはまた違う、素朴さや力強さを感じられるのも魅力です。
03|暮らし方から考える
同じ一枚でも、敷く場所や合わせる家具によって、見え方は大きく変わります。
ソファの前にゆったりと敷く。
ダイニングの下に色を足す。
ベッドサイドやチェアの足元に、小さな一枚を置く。
木の家具と合わせれば落ち着いた表情に、ガラスやスチール、現代的な照明と合わせれば、ヴィンテージの風合いがほどよいコントラストになります。
「ヴィンテージだからヴィンテージ家具と合わせる」と決めず、今あるインテリアとの組み合わせを楽しんでみてください。
ゾーニングや家具との合わせ方は、こちらの記事で詳しくご紹介しています。
気になる、お手入れのこと
「ヴィンテージ=繊細で、扱いが難しい」というイメージがあるかもしれません。
けれど、日々のお手入れはそれほど複雑ではありません。
素材や一枚ごとの状態を見ながら、ほこりや湿気をためず、無理のない範囲で整えていくことが基本です。
新しいもののように状態を保つというより、これからの時間も気持ちよく使い続けるためのお手入れ、と考えてみてください。
届いたその日から
tifloで取り扱うヴィンテージラグは、洗浄・検品・お手入れを行ったうえでお届けしています。
普段は、表面のほこりをやさしく掃除機で取り除く程度で十分です。回転ブラシは使用せず、毛並みに沿ってゆっくりとかけてください。
汚れがついたとき
飲み物などをこぼしたときは、できるだけ早めの対応を。広げないよう、乾いたきれいな布で上から押さえ、少しずつ吸い取ってください。
強くこすると毛や色を傷めることがあるため、擦らないのがポイントです。
ときどき、風を通す
ときどき、風通しのよい日陰でラグを休ませるのもおすすめです。こもった湿気を逃がし、裏面まで風を通してあげましょう。
天然ウール特有のにおいが気になる場合も、風通しのよい場所で陰干しをすることで和らぐことがあります。
時間を重ねる、一枚と
ヴィンテージラグは、完璧な一枚を探すものではないのかもしれません。
数十年前、遠く離れた土地で織られ、誰かの暮らしとともに時間を重ねてきたものが、今、自分の部屋の床にある。
色の揺らぎも、擦れも、少し不揃いなところも、その時間の続きを感じさせてくれます。
まずは、なぜか目に留まった一枚から。
これからの暮らしと一緒に時間を重ねていけるものを、ゆっくり見つけてみてください。