リプサリス・カスッサ、垂れる緑の糸が描く、静かな輪郭

ふわりと垂れる細い茎が、まるで緑の糸のように空間を縫っていく。リプサリス・カスッサは、その柔らかなフォルムで部屋に静けさと動きを添える植物です。

サボテンの仲間でありながら、トゲのない優しい印象。つややかな茎がつるりと伸びていく様子は、不思議とずっと眺めていたくなる心地よさがあります。

原産はブラジルなど中南米の熱帯林。高い木の枝などに着生し、空中の湿度をたよりに育つ森林性サボテンです。

室内では、明るいけれど直射日光の当たらない半日陰が理想の居場所。レース越しの柔らかな光のそばに吊るせば、その魅力が一層引き立ちます。

水やりは、土の表面が乾いてから2〜3日ほど待って、鉢底から流れるくらいたっぷりと。ただし、過湿には弱いため、受け皿に水を溜めたままにしないように注意します。

乾燥する季節には、霧吹きでまわりの湿度をやさしく保ってあげると、いきいきとした姿を保ちやすくなります。

春から秋の間は、風通しのよい半日陰の屋外で育てるのもおすすめです。直射日光や長雨は苦手なので、そんなときは軒下やベランダの奥へ避難を。

土はサボテン・多肉植物用の軽やかなものを使い、1年に1回の植え替えで新しい息を吹き込んであげましょう。

リプサリス・カスッサの魅力は、枝が下へ下へと自然にのびていき、時間とともに植物のシルエットが変わっていく。その姿に、暮らしの一部がそっと彩られていくような感覚があります。

モダンなインテリア空間にも、ナチュラルな木の家具にも、さりげなく調和してくれるのもこの植物の魅力。壁際や窓辺の少し寂しい場所に吊るせば、植物が描く陰影がやわらかく差し込み、空間に自然なリズムが生まれます。

華やかさではないけれど、気づけばいつも視線の先にある。そんな静かな存在感が、この植物のいちばんの魅力かもしれません。